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第11話 『伴奏譜に違和感あり』

 岡野貞一の原譜を眺めていた妻が言いました。「伴奏最後の方、間違いあるかもね」。小生の妻は音大ピアノ科卒、現役のオルガニストです。「何が間違いなん?」「あなたに言ってもわからない。」

北野3年時のクラスメイトで、お嬢ちゃまが現役音大生、プロのピアニストを目指している友人が助け舟を出してくれました。岡野貞一原譜の間違い探しをお嬢ちゃまにお願いしてみたところ快く引き受けてくださいました。ご許可を頂きましたので、以下に回答を掲載します。

佐野さん、

こちらの楽譜ですが、一箇所だけ和声的に違和感のある箇所があります。

14小節目の左手、1拍目表と2拍目表にあたる八分音符を、下の楽譜のように変更すると、違和感が減り、かなり自然になります。

ここからは専門的な解説になりますが、

この曲全体で用いられているクラシックの基本的な和声では、15小節目一拍目の和声進行がⅣ+6であることから、その前の拍はⅥあるいはⅠが望ましく、この場面では、その前の部分やメロディから推察するとⅠとするのが自然と思われます。

原譜では導音であるFisを二拍目表におき、かつ隣の主音Gに行っていないため、Ⅰは通過していない訳ではないですが、Iと感じないまま次に突入してしまっています。このことが違和感の原因の一つです。また、この曲は左手が分散しており拍の表にバスを持ってくるのを基本としているため、このまま2拍目裏にGを置くのはあまり適切とはいえません。よって、この2拍目の表の右手を非和声音と考え、左手の2拍目表をGに置き換え、裏拍の左手D、右手GとHでⅠと考えるのが適切です。
他にも、自然な流れにする方法はありますので、これは一つの解釈です。この解釈では前後との流れの違和感などが生まれる部分もありますので、これが正解だと一概に言うことはできません。


また、当初の和声進行案から変更した際に、以前のものが残ってしまった、もしくは和声を決めた後にメロディを作っていた場合、メロディの書き換えとともに、14小節目左手を誤って直し忘れてしまったのではないかという可能性もあります。しかしその前の小節からC→H→Aという左手の流れを作りたかったのだと解釈した場合、その部分を尊重した状態で他の構成音の配置を変えていくことが必要になると思われます。どちらにせよ、改変する場合はその他の部分の作曲家のオリジナリティが損なわれる可能性に対する懸念を同時に検討していく必要があります。

岡野貞一教授、ご指導よろしくお願い致します。拝(第12話へ続く

(文責:98期 佐野憲一)

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